もう十年近くなるが、私の朝勤行に三十分ほど声明を唸ることにしている。何時からか大檀横三米ほど離れた口径四十aの鐘が共鳴している。後ろの五十a鐘はそれが聞こえない。最初は声が大きいためかと思ったがそうでもないらしい。だが、どういう声を出したら共鳴するのかは今もってわからない。
 先月はじめ新四国曼荼羅霊場会の役員会に徳島寺町東宗院平尾純行師と出かけた。ちょうど浪曲師の天光軒満月師匠が「休みなのでお伴すると」車を出してくれた。車のなかの四方山話に先の話を話題にした。詠歌の達人平尾師意見がが聞きたかったのである。ところが前座席に乗っていた満月師匠が後部座席まで乗り出してきて「私もそのような体験をします。公演中であればそういったときは調子がよいときでお客さんの心をうつのか後で楽屋に来てくれ『今日は良かった』とお褒めの言葉を頂戴します。心を打つ声はそんなときの声ではないかと思っています」という。