第210

 





臨時サッカーファン



サッカーのワールドカップ。この文を綴るとき、決勝前夜となった。何の試合でも準々決勝が一番面白いと言う。日本と戦ったアルゼンチン、クロアチアはこれが同じチームかと思うほど活気にみなぎっていた。だが、自国が敗退した日本はブームが去ってしまった。
 サッカーが面白いと言うが私は元バレーボールの監督として不精者がボールを足で扱うのは我慢ならない。そこへ持ってきて十一人もがかりでゴールして一点。ラグビーはチャンと十五人の値打ちの点数である。いち早く攻めているのにオフサイドとかいう反則となるのも面白くない。といっても私も四、五回は高校のサッカーの臨時監督をしたことがある。その経験から勝つか負けるかの見極めぐらいはつく。
 批判はしていても私もアルゼンチンとの試合は見てしまった。どう見ても高校生と大学生ぐらいのレベルの差、それを一点で防いだのだから「ようやった」というよりない。後のクロアチア戦は後半少しだけ、サッカーが戦争というならこの試合勝つ方法があった。負けてくれたらODAン百億円増やす等々。外交も戦略の内とでも考えないと勝てる相手ではない。ジャマイカとの消化試合はもう見なかった。
 サッカーのワールドカップ(単にワールドカップというと私はスキーを思ってしまう)は東京オリンピックのバレーボール女子日本対ソ連の試合の視聴率を上回っていたという。オリンピックという国家イベントが盛り上がるなか白黒テレビで日本国民がテレビにかじりついた。そのときより上回ったとは驚異だ。何が驚異か。それは今のマスコミ全体が一つの方向に向いてしまう傾向にだ。せっかく紅白歌合戦が下火になり国民の娯楽が多様化してると言うのに一時予選すら突破できないレベルのサッカーと国民の期待をかけて金メダルをとった魔女達と一緒にしないで欲しい。茶髪のアンチャンと同一視するのは魔女の皆さんに失礼だ。余談ながらサッカーは永遠にメダルは無理と思う、それはスキーのアルペン選手がメダルにならないと同様、チャラチャラしていて魔女のひたむきさがないからだ。
 チケットが足りないことは四年後のために肝に銘じておこう、政府は日本国民一人一人にチケットを無料で配ると良い。こうすると減税よりよっぽど効果がある。経済で不振な韓国ととも連携してぜひともかかる政策をお願いたい。一億総ダフ屋も良いではないか。そのためにもタダの入場券(参院選の)は使って欲しいもの。
 最後にまじめな論議を一つ、岡田監督批判がある。が、岡田は監督として責務を充分はたしている。監督それぞれに個性があり、その個性が試合のおもしろさを生む。概してベストメンバーを選んだら選手に任せて口出ししなし、選手を替えない監督と、ルールいっぱい選手交代を含めベンチから指示を出す監督とがいる。私は選手交代をゴチャゴチャやるほうだったが、岡田監督は前者と見た。選手交代するにも一人替えることはそれぞれのコンビ練習をしなければならぬ。半年では無理ではなかったか。とにかく今までにない最良の監督であったと私は思う。




橘湾石炭火力発電所工事現場見学の記

 月参りされている阿南の四宮さんから「工事現場は今しか見られません。ぜひともいらして下さい」と言われていた。この度、阿波七福神会の総会に同見学をいれることにした。実は阿波七福神の弁天さんはこの前の島がご神体とうこともあっての視察でもあった。
島といっても今では橋でつながっている。海を渡る感がない。この工事現場は四国電力と電源開発鰍フ二つの会社が工事を進めている。関西空港、明石大橋の規模、総工費一兆円のプロジェクトという。
 建設中の石炭サイロが見える体育館ぐらいの屋根だろうが、いっこうに大きく見えない。聞けば屋根をこしらえ周囲の壁を積んでいくという。屋根じまいは最後という概念と逆だ。大煙突も同様な工法という。完成に近いのが四電のもの、高さが二百bというからざっと当山の半分の高さ、大きな外壁を作ってなかに実際の煙突、エレベータもつくという。
 発電所の建物もできつつある。建物のなかに機械がすわるというのも正しくない。機械と建造物を一緒に大きくブロック化して工場から船で小勝島に直接運ぶ、現場では組み合わせるだけだ。この現場にいる六五〇dの大型クレーン車が小さく見えるから不思議だ
 コンクリートのプラントも徳島県の総需要の四分の一ほどの能力という。それも女性がコンピュータをつかって三十種類たらずのコンクリートを作くる。とにかく大きい、世界最先端という石炭火力発電所である。
 次ぎに発電した電力を送電する。阿南変換所に行く、変電所と違いは交流を直流に直すからだ。直流のほうが送電効率がよい。ここから紀伊水道を海底電線で紀伊由良へそして高野山の麓、かつらぎ町の同様の変換所で再び交流にする。この直流送電は旧ソ連に多かったが、日本では一番長く、大容量だ。一方ここから交流で神山の変電所に送られ四国の需要をまかなう。
 日本全国に電力を供給するというものの考え方で作られた石炭火力発電所、随所で世界一、最先端というものが見られる。


余録


 はや七月今年は何をやっているのかというほど早く終わってしまって早くも後半。ブ−タンへいって百味供養会が終わると正月となる。昔から「若者は一日は短いが一年は長い。年寄りは一日は長いが一年は短い」といわれる。あまりこんなことを言っていたら年寄りの仲間入りと相成るのかな。