第209

 






「まんだら霊場秘宝展」お礼



 
六月一日より七日まで徳島そごうで行った、「まんだら霊場の秘宝展」は盛大に、厳粛に、事故もなく終わりました。神佛のご加護と皆さまご支援のたまものと感謝をいたします。
 これには大切な宝物を秘宝展に出展下さった社寺、会期間中にご出仕いただいた宮司・住職、社寺婦人会皆さん、先達の皆さんが気持ちを一つに結集したものと思います。
 ご来展の人数は五日間で九〇一五人(但し、高校生以下は数えず。通常一万人という)一日一八〇三人。この種の展覧会で破格の人数といわれた十五年前の「弘法大師展」は十三
日で二万人(この動員も私が企画したのだが)会期差があり一概に比較はできないものの、徳島県では最大級の集客数といえます。
 この展覧会の特長はまずハード面では県指定有形文化財が十二、重文級四点、ほかにすばらしい秘宝の数々。ソフト面では祈願所で一時も欠かさず修法が行われ、お祓い所では必ず厳粛なお祓い、常にご詠歌が奉詠されたこと等により「身が引き締まる思いがした」という雰囲気。美術展では決してない供物、賽銭箱、供花(お供えのみならずコーナーのお花は心を和ませた)その上、両替時には婦人会によって巻いたコインを袋に入れ替えてお詣りしやすくするという優しい接待等々心のこもったものでした。さらに梅雨というのに晴天に恵まれて、結果、毎日鰻登りに参拝者が増えていきました。
 十周年記念大祭は九月にも、第一番霊場東林院、神戸須磨寺とありますので、今後ともよろしくお願い申しあげます。


不思議なことば


 
私は子供のときから中津峰山麓で使われる秋祭のお祭のオハヤシのなかで意味の分からず、民俗学者等に聞いても納得が得られないまま今日にいたった。それはお祭の屋台の上で子供が「チキチキ、サッチキサッチキ、サッチキ、サッサイ」囃しながら太鼓を神様に唱上するもの。もう一つは御輿の渡御に「チョーサじゃ、チョーサじゃ」と「ワッショイ」とは言わない(四国の東半分がこれらしい)
 この度の「まんだら霊場秘宝展」の記念講演に来徳された李寧煕先生と夕食歓談のなか、そのことを話すと李先生は驚かれた様子で
「サッチキサッチキ、サッポポ」とは韓国の子供の遊びのかけ声ですと、さらに深く考えるとサは鉄、チギ(ジッキ)作るという意味になるとの由。では「チョーサ」はチョは良いサは鉄「良い鉄、良い鉄」となる。中津峰山麓付近は金谷、金山神社等があり一時邪馬台国は阿波だったの舞台とされた地域である。山麓付近に伝わる「たたら音頭(たたらはふいごの意)」さらに勝占町を流れるたたら川と鉄にちなんだ地名が多い。
BC三世紀あたりから韓半島より日本列島に数多くの人々がやってきた。その民族移動には三つの波があった。第一波はBC三ー二にかけ、農耕と鉄器文化を持ってやってきたのが伽耶・新羅。第二波は四世紀末の高句麗に攻められた百済が王族をはじめ文武百官、学者、技術者がやってきて、仏教と千字文が伝えられた。第三波は百済、高句麗の滅亡により多くの集団亡命があった。かくして、第一波の伽耶・新羅の方言。第二波の百済方言。第三波は百済・高句麗の方言と跡が残っているという。
 土佐弁のキニも先生は講演のレジュメに司馬遼太郎の「竜馬が行く」に使われていると紹介されていた。現在高知で使われていると我々がいうとびっくりされた様子。徳島弁の特長である「○○するけん」の「けん」も同じような意味で韓国語に使われているという。
これも意味不明の言葉だったのだが山仕事に使うチョーナはチョーは割るナは刀。
また曰く、「四国にイヤというところはあるますか」「ええありますよ」「それは伊予
の方面ですか」「いやいや四国の真ん中、剣山から流れ出る急峻な渓谷にあって、祖谷とかきます。昔から平家の落人が住み着いたと言われるところで日本の三大落人村と言われるところです」「祖谷と書いてイヤとよむのですか。これをソコクと読むと韓国語では政権の再興を願う意味です」と平家の一族が再興を願って谷に国という意味を込めたとしてらできすぎているではないか。
十年ほど前から「邪馬台国は阿波だった」によって、地名から当山山麓付近は鉄との関係がとりざたされ、今度は韓国語との関係によって鉄に関係があるらしい。が、この地方に鉱山、製鉄、製鋼の跡はない。実際に古代の鉱山跡或いは製鉄の跡が見つかれば歴史的に実証されるであろう。古代のロマンをもとめて探してみてはいかがだろうか。



為報恩謝徳

一金壱十万円也         徳島市上八万町 山本功様


編集後記


今年の行事は九月に徳島市国際交流協会と共催でブータン王国に親善訪問いたします。ブータン王国はヒマラヤの山中にある九州ぐらいの小さな国世界の経済指標で考えると世界の最貧国になる。王室を中心に仏教国で豊かでもないが貧しい人はいない。経済優先主義の日本からまた別の目で世界を見るとどう写るかが楽しみである。ただいま希望者を募っている。今月いっぱいにお申し込み下さい。 今年ホトトギスがきたのは五月二十七日例年より十日ほど遅れていた。八月半ばぐらいまで鳴きとうすのであるが、去っていく日を確定するのは難しい。