第208

 





「まんだら霊場秘宝展」

平成元年、もう一つの「お四国霊場」として「四国曼荼羅霊場」を開創した。その基本理念は日本人古来の神と佛を祈る心を大切にすることにあった。その願いをもつ仏教各派の寺院と神社八十八によって霊場が作られた。それから、十年、報恩謝徳のため、日頃は社寺の奥にあって、目に触れることのできない秘宝を一同に公開しようというものである。

開催日時及び場所
 六月三日より七日まで、徳島そごう8階 特別催し会場(七日は五時閉場)

当山の出展等々
 大黒様、四天王様、仁王様をはじめ、蜂須賀蓬庵公の戦陣錫杖等を当山から出展する。 全体に白鳳時代の誕生物を初めとする重文級4点、県指定文化財十一点をはじめとし、「泥佛」「大涅槃図」「各種曼荼羅」「神仏混淆」等々80点余りが四国各地から出展される。同時に「四国曼荼羅霊場」お砂踏みも開筵される。

地獄から極楽へ

 まず、会場、仁王門をくぐって入場すると「閻魔大王」によって審判を受ける。日頃良くない行動の諸々は地獄に堕される。ところがそこには阿弥陀さまはじめ二十五菩薩の来迎、お地蔵様、弘法大師の救済によって、お釈迦様の涅槃の世界に導かれ救済されるという設定で「閻魔大王像」「地獄曼荼羅」「極楽曼荼羅」県指定文化財の「来迎図」二点、「笑い地蔵」六躯が展示され、「泥佛」より「誕生佛」をへて、松尾寺「大涅槃図」に至る第一コーナ。巡錫するためには錫杖が必要当山の戦陣錫杖はじめ県指定の名品有。

「泥佛」

第17番佛母院は弘法大師の「臍の緒塚」のある寺。「弘法大師がご幼少の砌、土をこねて遊んでいたところ、佛になった」という「泥佛」が 秘仏として弘法大師ご在世時代からまつられてきた。この度、初公開される。

白鳳の「誕生佛」

 第5番光厳寺には白鳳時代の誕生佛がある。なぜか、重要文化財には指定されていない。そのため今回この会場に出展が可能になった。

松尾寺「大涅槃図」

 第16番霊場 象頭山 松尾寺は江戸時代には金毘羅さんそのものであった。明治政府の神仏分離令で金刀比羅宮とさせられたとき、塔中の一院を松尾寺とした。そのとき金毘羅さんの仏教に関する宝物はほとんど焼却されたなかで「大涅槃図」ほか数点が残った。  横幅7m56p、たて3m30pの超大作。江戸後期作だが作者不明だった。韓国の元国会議員であり、『もう一つの万葉集』『枕詞の秘密』等々の著者 李・寧煕(イ・ヨンヒ)先生がが松尾寺を訪れ、「大涅槃図」を調査、李朝の宮廷画家、檀園(金弘道)の作と推定された。理由は檀園が一七九三年秋讃岐、琴平にいたと思われること、檀園の作風に似ていることなどである。  また、檀園は松尾寺住職の口添えで讃岐の松平候に通行手形をもらって江戸へのぼった。「大涅槃図」のなかの鬼の顔が写楽の役者絵とそっくりというミステリーも李先生は見逃さなかった。先生新刊の『もう一人の写楽』が楽しみである。  なお、松尾寺の涅槃会に使用する以外、今回の展示が本邦初公開である。

 いろいろな曼荼羅

曼荼羅といえば金剛界曼荼羅、胎蔵曼荼羅の両界曼荼羅で代表される。もちろん両界曼荼羅も数々出展されている。そのほか、先の「地獄極楽曼荼羅」「光明曼荼羅」「都率天曼荼羅」「粉河曼荼羅」「三井曼荼羅」県下最古の「十三佛」等々各種曼荼羅にあわせ、各尊像の軸物多数。 「地蔵菩薩」「観音菩薩像」をはじめとする仏像群。 曼荼羅の図絵に目を向けがちであるが、仏像群もすばらしい。先の閻魔さん、高知県指定文化財の「笑い六体地蔵」は全国類がない藤原期の作品。実報寺「地蔵菩薩」鷲峰寺「聖観音菩薩」「大黒天」「賓頭大師」など。 「八幡大菩薩像」  本来神社で祀られていたのが、神佛分離によって寺院で祀られることになった。だが、この霊場ができ、神佛友好に証として本来の神社に還るという。

「お砂踏み」

これは「お砂踏み」当山のお彼岸の法会は「土砂加持」ともに「砂」ついているが、両者は違う。よくよくご理解のほどを。  四国曼荼羅霊場を巡拝するには一週間余りの日にちが必要である。忙しいあなたには各霊場の「お砂踏み」で巡拝の功徳があるというもの、ぜひ一度は巡拝を。


 李・寧煕(イ・ヨンヒ)先生講演会 (六月六日、東急イン6F)

『もう一つの万葉集』『枕詞の秘密』の著者。イ・ヨンヒ先生が来徳され、ご講演されます。 『もう一つの万葉集』で枕詞が意味をもつことをはじめて解明され、日本の学会に衝撃を与えてから早十年になる。現在、韓日比較文化研究所長として、韓国と日本の深い繋がりを研究されており、文化ことに言葉がいかに影響しあっているかお話が聞けるものと思われます。入場無料。新刊書『もう一人の写楽』のサイン会はまんだら霊場秘宝展会場で。



為報恩謝徳

 一金壱十万円也         徳島市上八万町 山本功様